中国の生成AI:百度「心响」
開発企業
「心响」(シンシャン、Xinxiang)は、中国の大手テクノロジー企業である「百度(Baidu)」によって開発されました。百度は中国版Googleとも呼ばれ、検索エンジンを中心にAI分野にも注力しています。
公式サイトURL
「心响」は主にモバイルアプリケーションとして提供されています。Android版は既にリリースされており、iOS版も準備中です。 サービス全体の基盤となっているのは、百度の提供する大規模言語モデル「文心大模型(ERNIE)」と、そのチャットボットである「文心一言(ERNIE Bot)」です。文心一言の公式サイトは以下です。
- 文心一言(ERNIE Bot)公式サイト: https://wenxin.baidu.com/
「心响」アプリ自体の公式サイトはこちらです。百度心响:https://xinxiang.baidu.com/
利用料金(有料プラン料金)
「心响」アプリは現状無料で利用出来ます。 今後の「心响」の機能拡充に伴い、有料プランが登場する可能性も考えられます。
特徴やバージョンの変遷
「心响」は「AI任務完成エンジン」を核としたモバイル向けスーパーインテリジェント体製品と位置づけられています。 自然言語での対話を通じて、ユーザーの複雑なタスクを分解し、動的に実行、視覚的な結果として提供することを目指しています。 大規模言語モデルとマルチエージェント協調能力を活用しています。
2025年4月にAndroid版がリリースされました。 Create 2025百度AI開発者会議で正式に発表されています。
基盤となる「文心」シリーズは、2019年から百度が研究開発に数十億ドルを投資して開発が進められています。 「文心一言」(ERNIE Bot)は2023年3月16日に発表され、同年8月31日に一般公開されました。 バージョンとしては、Ernie Bot 3.5が無料で提供され、Ernie Bot 4.0がプロフェッショナルプラン向けに提供されています。 さらに、2025年3月にはERNIE 4.5やERNIE X1といった新しいモデルも発表されています。 ERNIEシリーズの特徴としては、単語の共起関係だけでなく、事実や常識といった構造化知識を統合して学習する「知識統合型プレトレーニング」や、中国語の言語構造を深く考慮した設計による「中国語特化の強み」が挙げられます。
「心响」は、従来のチャットボットが質問への回答を提供するのに対し、ユーザーの要望を直接実行し、完成した成果物を返す「任務完了」に重点を置いている点が特徴です。 また、健康や法律といった専門分野では、複数のAIエージェントが協力して対応する「多智能体協調」の仕組みも実装しています。
活用方法
「心响」は、知識解析、旅行計画、学習、オフィス業務など、様々な生活シーンでの活用が想定されています。 アプリ内には「霊感」と呼ばれるタスクテンプレートが200種類以上用意されており、ユーザーはこれを利用して様々なタスクをAIに実行させることができます。 例えば、旅行計画の自動作成、スマートグラフの生成、AIによる相性診断、法律相談、健康相談などが可能です。
「心响」は外部のツール呼び出し(Tool Use)に加えて、多智能体協調(Agent Use)による高度なタスク処理も行います。 これは、健康相談時に複数の医師AIが連携したり、法律相談時に複数の弁護士AIが協力して回答を生成したりする、といった形で実現されています。
また、百度のMCP(大模型互助开放平台、Large Model Collaboration Open Platform)エコシステムを活用しており、様々な外部サービスとの連携も進められる可能性があります。 これにより、「心响」はより幅広い分野でのタスク実行能力を向上させていくと考えられます。 百度の検索リソースとの連携も、「心响」のユニークな優位性の一つとなる可能性があります。
「心响」の紹介ムービー(日本語字幕付き)は以下からご覧頂けます。
実際に「心响」で作成した絵本動画の事例です。