生成AIモデル「Qwen」徹底解説
「世界の生成AIガイド」へようこそ。このページでは、Alibaba Cloudによって開発された大規模言語モデルファミリー「Qwen(通義千問)」について詳しくご紹介します。
Qwenとは?
Qwenは、Alibaba Cloudが開発した先進的な大規模言語モデル(LLM)およびマルチモーダルモデルのファミリーです。 中国語および多言語処理能力の高さで注目を集めています。 オープンソースとしても積極的に展開されており、研究者や開発者がアクセスしやすくなっています。
- 開発企業: Alibaba Cloud (アリババクラウド)
- 公式サイトURL:
- Qwen国際版サイト: https://qwen.ai/ (Qwen Chatへのリンクあり)
- 通义千问 中国版サイト: https://tongyi.aliyun.com/
- GitHub (QwenLM): https://github.com/QwenLM
- Hugging Face: https://huggingface.co/Qwen
- Alibaba Cloud Qwen紹介ページ: https://www.alibabacloud.com/product/tongyi-qianwen
Qwenの特徴
Qwenファミリーは、その性能と機能の多様性において注目されています。
- 強力なパフォーマンスと多言語対応: Qwenは、自然言語理解、数学的問題解決、コーディングなど、様々なベンチマークで他の主要なモデルと比較しても優れた性能を示しています。 特に、英語、中国語に加えて27以上の多言語に対応しており、グローバルな利用が期待されています。 最新のQwen3では119の言語と方言に対応しています。
- 幅広いモデルサイズと専門モデル: 0.5B(5億)から235B(2350億)を超えるパラメータを持つモデルまで、エッジAIから高性能クラウドサービスまで対応可能な幅広いサイズのモデルが提供されています。 さらに、コーディングに特化した「CodeQwen」、数学に特化した「Qwen-Math」、視覚言語モデル「Qwen-VL」、音声言語モデル「Qwen-Audio」など、特定のタスクに最適化されたモデルも存在します。
- 長文コンテキスト処理: 最大128Kトークンという長文のコンテキストを処理できるモデルもあり、長大なドキュメントの解析や要約にも対応可能です。 一部のAPIサービス向けモデルでは、最大100万トークンの長文処理も可能とされています。
- マルチモーダル対応: テキストだけでなく、画像、音声、動画を入力として受け付け、テキストや音声を生成できるマルチモーダルモデルも開発されています(例:Qwen2.5-Omni)。
- オープンソースとしての展開: 多くのQwenモデルがApache 2.0などのオープンソースライセンスで公開されており、研究開発コミュニティへの貢献も大きな特徴です。 これにより、世界中の開発者がQwenをベースにした派生モデルを開発するなど、活発なエコシステムが形成されています。
- 思考モードの搭載(Qwen3): 最新のQwen3では、「思考モード」と「非思考モード」という2つの思考モードをサポートしており、複雑な問題に対する深い推論と、速度が求められる単純な問題への迅速な応答を使い分けることができます。
- エージェント機能の強化: Model Context Protocol (MCP) やファンクションコールに標準対応し、エージェント型タスクにおける性能が向上しています。
バージョンの変遷
Qwenは継続的にアップデートされており、性能向上や新機能の追加が行われています。
- Qwen (初期リリース): 2023年4月にベータ版として初めて公開されました。 当初は1.8B、7B、14B、72Bといったサイズのモデルが含まれていました。
- Qwen1.5: パラメータサイズ0.5Bから110Bまで、より多様なモデルが提供されました。
- Qwen2: 0.5Bから72Bまでのモデルが登場し、パフォーマンスが大幅に向上しました。多言語対応や数学・コーディング能力が強化され、最大128kトークンのコンテキスト長をサポートするようになりました。
- Qwen2.5: Qwen2からさらに進化し、最大18兆トークンもの大規模データセットで事前学習されました。 これにより、知識獲得量やプログラミング、数学における性能が大幅に向上しています。 Qwen2.5-MaxやQwen2.5-VL(視覚言語モデル)などがこのバージョンに含まれます。
- Qwen3: 2025年4月29日に発表された最新シリーズで、0.6Bから235B(MoEモデル)までの幅広いモデルが含まれます。 「思考モード」の導入、多言語対応のさらなる強化(119言語・方言)、エージェント統合の進化などが特徴です。
利用料金(有料プラン料金)
Qwenモデルの多くはオープンソースとして提供されており、Hugging Faceなどを通じて無料で利用を開始できます。
Alibaba Cloudは、Qwenモデルを利用したAPIサービスや、AI開発プラットフォーム「Model Studio」を提供しています。 これらの商用サービスについては、Alibaba Cloudの料金体系に基づいた利用料金が発生します。具体的な料金は、利用するモデル、リクエスト数、処理量などによって変動するため、Alibaba Cloudの公式サイトで最新情報を確認する必要があります。
Qwen Chatなどの一部のデモンストレーション用Webサイトやアプリケーションでは、無料で機能を試すことができます。 ただし、無料版には利用制限がある場合や、商用利用に制約がある場合があります。
活用方法
Qwenはその高い性能と多機能性から、多岐にわたる分野での活用が期待されています。
- テキスト生成: 記事作成、メール作成、物語創作、広告コピー作成など。
- 質疑応答・チャットボット: 顧客対応、情報提供、対話型AIアシスタントなど。
- 翻訳: 多言語対応能力を活かした機械翻訳。
- 要約: 長文ドキュメントや記事の要点をまとめる。
- コード生成・プログラミング支援: Pythonなど様々なプログラミング言語のコード生成やデバッグ支援。 Qwen Chatの「アーティファクト機能」では、コード生成と同時に実行結果を確認できます。
- 画像生成・動画生成: テキストによる指示から画像を生成したり、短い動画を作成したりする機能も一部モデルや関連サービスで提供されています。
- データ分析・情報抽出: 大量のテキストデータから特定の情報を抽出したり、傾向を分析したりする。
- 特定分野への応用: 金融分析、医療分野での診断支援など、専門知識を要する分野での活用も期待されています。
- AIエージェント開発: Qwenの高い推論能力とツール連携機能を活用し、自律的にタスクを実行するAIエージェントを開発できます。
Qwenモデルは、Hugging Face Transformersライブラリなどを利用して比較的簡単に導入・利用することができます。 また、Alibaba Cloudのプラットフォームを活用することで、より大規模な環境での利用や、自社データを用いたファインチューニングも可能です。
Qwenは進化を続けており、今後も新たなモデルや機能が追加されていくことが予想されます。最新情報については、公式サイトや関連コミュニティをご確認ください。